宮島永太良が振り返る2010年からの15年B
宮島永太良が振り返る過去15年…
最終回は、2020年から2024年までです。
◇2020年
★4月 第17回花まつり オンラインで開催
2020年、新型コロナウィルスによるパンデミック下で初めて迎えた春は大変な出来事が重なりました。まず忘れてはならないのが、長くお付き合いさせていただいた新宿JAZZ SPOT J が、「三密」の煽りを受けて4月末で閉店したことです。それも4月はたった2日間の営業で最後の展示が私になったのは、いま思えばご縁だったと思います。
そして、コロナ禍の影響を受けたのが、4月8日の仏陀降誕を祝い、それを多くの方々に知ってもらうために私が2004年から始めた -チャリティーアートの祭典「花まつり」です。2020年で第17回を迎えました。それまではミーツギャラリーを中心に催されてきましたが、この年はコロナウィルスの感染防止策によりリアルなギャラリー開催を中止、Facebook上でのバーチャルギャラリーとして、小高嘉照さん、原雅彦さん、シモンさん、そして私の美術作品を4月25日(土)から27日(月)までの3日間紹介しました。なにがなんでも私は「花まつり」を続けたかったので、初のオンライン開催となりました。
★9~10月 第1回アートブルーム
コロナ禍の影響で2度の延期したミーツギャラリー企画グループ展「アートブルーム - アートソムリエ 山本冬彦が選ぶ若手作家展 -」が、9月22日(火)から10月3日(土)まで銀座のミーツギャラリーで開催されました。若手作家8名による展覧会でしたが、それぞれお目当ての作家の作品を観るため多くの方々が来場、会場は終始心地良い雰囲気が流れていましたが、人が集まって喋る「三密」がだめだったので、オープニングパーティ等、出展作家をはじめ多くの方々と交流ができなかったことは残念でした。しかし、以後2年のコロナ禍も継続開催、アートブルームは今年の11月で第5回を迎えます。この間の山本冬彦さんのご尽力には心から感謝しています。と同時に主催者としては、若い作家さんに発表の場を提供できるのは嬉しいことです。
◇2021年
★2~3月 マールツァイトで2ヶ月間個展
2021年、私の最初の個展が赤坂にあるドイツ文化会館1階にあるドイツ&オーストリア カフェレストラン マールツァイトで2月1日(月)から3月31日(水)まで行われました。展示したのは「光の演奏会〜ウィンタードリーム編」、初夢3部作など新作を中心に12点。Jを除けば、ああいうタイプの落ち着いたレストランでは初めてでしたが、以前住んでいた場所からも近かったので気持ちは楽でした。あと初めての場所だったこともあり、店内に座って自分の作品を観ていると、食べる料理によって絵から受け取る印象が違うんじゃないかとか、ビールの美味さは味覚だけではなく、喉を過ぎる時の「シュワッ!」とした触覚が関係するんじゃないかとか、一人で想像をかき立てているのも楽しかったですね(笑)。
★3月 神奈川歯科大学病院小児歯科へ作品寄贈
2021年3月、2020年1月に横浜みなとみらいホールで開催されたクラシック・ヨコハマ第13回「生きる〜 若い命を支えるコンサート」のテーマ画、宮島永太良作品「みんなの演奏会]」を神奈川県横須賀市小川町にある神奈川歯科大学病院小児歯科へ寄贈しました。
寄贈先の神奈川歯科大学病院はエントランスの吹き抜けには大きな現代アート作品が掲げられ、理事長室にはたくさんの絵が飾ってあり、アートへの理解がとてもあるので私の喜びも増しました。そして病院は、患者さんもスタッフも心のケアをしなければいけないところなので、私の作品を観て笑顔になってくれればと思いました。あと、これがご縁となり、モンゴルとの交流に繋がりました。
◇2022年
★5月 健康をめざすアート展
「第19回花まつり特別企画」として、5月16日(月)から21日(土)は銀座のミーツギャラリー、5月24日(火)から29日(日)は新宿区大京町のThe Art complex Center of Tokyo(ACT)で一般財団法人「健康とアートを結ぶ会」の協力作家による展覧会「健康をめざすアート展」を開催しました。当時考えていた「健康をめざすアート公募展」のイメージと基礎造りのためでもあったので、協力作家皆様のお力を借りることにしました。また、それまでの「花まつり」の意義を再考、企画内容を見直して行ったので、自分自身でも新たな方向性が見えたイベントになりました。あと印象に残っているのは、まだコロナ禍でしたが、搬入時に作家さん同士の初顔合わせもあり、交流できたのは良かったです。そして、10月には「健康をめざすアート展U」も開催、翌年の公募展への大きなステップになったのは間違いありません。
*「健康をめざすアート展」出展アーティスト
K-OZAWA/住谷重光/住谷美知江/中川沙綾香/宮島永太良/村岡ケンイチ/渡邊智美/若生
ひとみ/ミラニモポ シモン(順不同・敬称略)
★6月 第1回 医療とアートの学校
一般財団法人「健康とアートを結ぶ会」として6月11日(土)と12日(日)、パシフィコ横浜会議センターで開催された「第13回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会」の関連イベント「医療とアートの学校」に参加しました。このイベントを企画運営したのは、5月に行われた「健康をめざすアート展」にも出展、似顔絵セラピー代表として医療現場で活動を続ける村岡ケンイチさんです。彼の活動を応援したい一面があったのと、財団をやっていても同じコンセプトでやっている人となかなか会えないので、近い考えを持っている方々と接する機会を狙った意味もありました。お陰で「アートは健康に繋がると考えている人」に出会え、横の繋がりができたのも良かったし、様々なブースを見て、アート寄りだったうちの財団の立ち位置が分かったのも私にとっては大きな成果でした。それで横浜以後の2023年名古屋と2024年浜松にも続けて参加しました。
◇2023年
★6月 第1回 健康をめざすアート公募展
「健康とアートを結ぶ会」が主催した「健康をめざすアート公募展」の展示審査が、6月7日(水)から6月11日(日)まで新宿区大京町のACTで催され、最優秀賞/吉澤幸子、優秀賞/落直子 カモタ オユコ、佳作/カミジョウミカ 白石絵美 MIHO 寺脇早也加 (敬称略)が、細井孝之 内海信彦 宮田徹也 式田護 宮島永太良 5名の審査員によって選出されました。初めての公募展であったにもかかわらず、首都圏は言うに及ばず北海道、大阪、広島、福岡など全国から43名55点が応募、ACTの2会場に力作が展示されました。
当初、私としては公募展テーマの「健康」があまりに漠然としていて応募者があるのか不安で少なくてもしょうがないと思っていましたが、予想を上回る応募数に驚きました。そして、嬉しいことに初めてACTで応募作品の展示を観た時には色々なタイプがあり、それが「健康をめざすアート公募展」の会場かどうか分かりませんでした。またコンセプトボードにあった作家自身の大病や事故との遭遇、亡き家族への想い等から描いた背景を知った時には作品の奥深さを知り、会期中に体調不良などもありましたが、公募展開催の重要さと手応えを感じました。
★6月 健康をめざすアート展
2022年はグループ展としてとして行った「健康をめざすアート展」が、2023年は、6月13日(火)から17日(土)までは若生ひとみさんと宮島永太良の「心と体に光を」、11月14日(火)から18日(土)まではシモンミラニモポさんと宮島永太良の「20 GAME 10」が二人展として銀座のミーツギャラリーで開催しました。
6月の二人展に先立つ約半月前、若生ひとみさんは幸先良くニューヨークの公募展アートインキュベーションで準優秀賞を受賞。その受賞作である「あまてらす」「かはたれどきの言祝ぎ」「牡牛に薫る花菖蒲」も今回の展示作品15点の中にあったのは幸いでした。そして11月のシモンミラニモポさんと宮島永太良の二人展「20 GAME 10」には二人に加えて10年来の画友であるYukakoさんにもゲスト出展していただきました。
何故二人展にしたのかと言えば、私と一緒に展示することで、より「健康とアート」の視点で作品を観てくれるんじゃないかと思ったし、「ミーツギャラリー」が「健康アートミュージアム」であることを伝えたかったからでもあります。だから、今後も二人展企画は続けて行くつもりです。あと、私としては個展ともグループ展とも違う二人展にしかない緊張感が好きなこともあります。
★10月 アール・グラージュ完成お披露目展
10月24日(火)から28日(土)まで、ミーツギャラリーで初めてアール・グラージュ化された私の作品を展示しました。かなり前から知り合いのオフィスで観ていたので、アール・グラージュ(=ART GRAGEとは、光・音楽の組み合わせにより時の流れや季節の移り変わりを1枚の絵の中で表現する日本で生まれた世界初のアート)の存在は知っていました。そして、2023年にアール・グラージュ開発者である中野和男さんと知り合い、私の作品「マルタの冒険」〜スカイフラワー演奏会〜(20号)をアール・グラージュ化していただきました。出来上がった作品を眺めていると、自分の描いた絵が変化するのを観ているのは新鮮な楽しい気持ちになれるのが、良いですね。来年ぐらいにはもう一作アール・グラージュ化しようかと考えています。
◇2024年
★2月 福井内科消化器科クリニック訪問
以前から小田原の福井内科消化器科クリニックに住谷重光さんと美知江さんの絵が展示されていると聞いていたので「百聞は一見にしかず」と考え、2月29日(木)午後にクリニックを訪問しました。まず最初に見たクリニックらしくない外観に驚き、中に入ってみたらピクチャーレールもある美術館のような待合室にまたびっくりしました。
そのうえ福井光治郎先生の話から患者さんや医療スタッフへのアートの効用を知り、未来志向のクリックだと納得。加えて病院が美術館みたいな感じがしたけれど、最初から美術館のつもりで造ってしまう病院があっても良いかなと思いました。
★6月 第2回 健康をめざすアート公募展
6月19日(水)から23日(日)まで、健康とアートを結ぶ会 主催第2回「 健康をめざすアート公募展」が、新宿区大京町のACTで開催されました。会期中には7名の審査員による選考が行われ、最優秀賞1名、優秀賞と佳作は前回より1名ずつ増え、それぞれ3名が選ばれ、最終日14時過ぎからACTの会場で、多くの出展者が見守る中で授賞式が行われ、最優秀賞の寺脇早也加さんと、佳作の長田智佐子さん、大竹夏子さんの3名が出席して授賞式が行われました。
今年の元旦には能登地震もあり、一般的に公募展の2回目はぐーんと減るという話もあり、応募者の減少は覚悟していたのですが、締め切り間際に応募点数が昨年を上回ったのに驚きました。私は少なくても仕方ないと思っていたのですが、良い方に裏切られて良かったです。また、作品内容も2回目の応募者もいて初回より踏み込んだ内容の作品が多かった気がしたし、濃かった。ちなみに第3回は2025年秋に開催予定しています。
★2024年の強い思い
今年になって、強くマルタ作品の「読み聞かせ」をしたい自分がいることに気づきました。今春、最初に「読み聞かせ」をするチャンスを逃したのが大きく、渇望感は募りましたが、まず5月末に横浜の日本大通りで開催された「かながわMIRAIストリート2024」で、多くの方々の前で初めて「読み聞かせ」を行いました。その後も6月の個展会場、8月の杉劇でも行い、自分なりに手応えを掴みました。「読み聞かせ」が好きな理由ですが、実は自分でもよく分かっていません。ただ、これまで自分にはなかったピースを加えられる気がするのは確かで、最初にやった日本大通りでは、「なれない自分」になれた気がしました。また、知人からは原作者自ら話すことに意味があるとも言われたのにも納得しています。あとなんと言っても、お話をすることで多くの子どもたちの自然な姿を近くに感じられるのも楽しいですね。これから宮島永太良は「読み聞かせ」にも力を注ぎますので、よろしくお願い致します。