◇連載 第9回 宮島永太良とアートが気になるインタビュアーの対話
ここからアートステーション 第9回 体と色彩A
Q=アートが気になるインタビュアー/A=宮島永太良
Q:前回より、宮島さんが「健康」というものを意識して制作した作品について語っていただいています。その第1弾は「チャクラ」をテーマにしたものであり、前回はチャクラというものの解説と、作品への導入について語っていただきました。「チャクラ」では、人の体それぞれの部分に適した色があり、それは頭から足まで、虹と反対の色順とのお話でした。そして「頭寒足熱」の理論とも合っているということでした。
A:私の作品では、この色の順番を人の背の高さに合わせて感じてもらおうと思いました。
七色の色の帯をマグネットペーパーで作り、それらを、貼り替えができるように、マグネットボード上に配しました。観る人は色帯を手で自由に動かせるようになっています。人によって、背の高さに合わせてられるためなのはもちろん、色の入れ替えもやってみるとどうなるかも試してほしいと思いました。例えば、紫の下を藍色でなく黄色にしてみたら、赤の次が黄色を経ずいきなり緑になったらどうなるか、などです。
Q:ちょっとバランス悪い感じがしますね。
A:わかりやすく言うと、順番を変えた場合、その隣り合った色どうしを混ぜると濁った色が登場します。この濁った色調は体的に見ても、あまり良いものとは言えないかもしれません。
Q:そういう意味で、もともとの順番は非常にバランスの良いものですね。
A:虹の色は全ての「有彩色」の基本ですが、よく美術の時間に倣う「色彩の輪」と全く順番は同じです。ようするに色は「グラデーション」であるということです。
Q:私も色の輪は見たことがありますが、360度という限られた輪の中に無限の色があるという感じですね。
A:はい、私たちは「赤」「黄」「青」などと個別に分けて呼んでいますが、たとえば「赤」は、絵具にある「あか」のベタ一色ではなく、ワインのような色からミカンのような色に至るまでの色の混ざり合いです。この作品ではわかりやくす、象徴的な意味でベタの色を七つ貼っていますが、実はこの一色の中にも様々な混ざり合いがあると見ていただいて良いです。
Q:私たちが「赤」「黄」「青」等と呼んでいるのはそれ一色のことではなく「色相」、つまりある一定の感じの色の総称と言えるかもしれませんね。
A:展示に話を戻すと、いろいろな方法で鑑賞してくれる人が出てきて新鮮でした。たとえば、私は色帯を横型で提示し、動かす人も横型のまま動かす、という前提しかなかったのですが、人によっては縦にしたり横にしたりして思索してみたりと、観方もバラエティに富んでいました。
Q:確かにチャクラの色が縦に入って来たら、体としても非日常的なコンディションになるかもしれませんね。宮島さんとしては、この作品を今後も展開させたいと思われますか。
A:はい、先ほどお話したような、色のグラデーションを、チャクラとともに感じてもらう工夫ができたら良いかと思っています。
Q:ここで基本的な話ですが、先ほどチャクラは「有彩色」の基本というお話がありました。「有彩色」があるということは「無彩色」もあるわけですよね。
A:はい、白からグレーを経て黒にいたる、いわゆる「白黒画面」「グレースケール」と呼ばれるものです。
Q:この無彩色と言うのは、チャクラと関係するでしょうか。
A:直接関係する話は聞いていませんが、有彩色に対して無彩色は多大な影響を及ぼします。いわゆる明るさ、暗さ、と言うのは、それぞれの有彩色に白を加えれば次第に明るくなり、黒を加えて行けば次第に暗くなっていきます。
Q:そうして人の目には細かい色が認識されて行くのですね。
A:この世の中に見える人は有彩色(虹の色)が縦の関係だとすれば、無彩色は横の関係となります。相対的に言えば、色は明るくなるほど、体には良い影響を及ぼすだろうと思います。
Q:ところでこの無彩色の白、グレー、黒は、明暗を作るだけでなく、それだけでも絵も成立させますよね。
A:モノクロの絵は普通にありますよね。モノクロといって思い出せるのが、以前私も学習したことがある「アートセラピー」で扱う絵です。
Q:では次回はそのアートセラピーに関わる絵についてお話しいただきましょう。