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京都

2024年5月末から6月初頭、宮島永太良は、京都にある同時代ギャラリーで、実に18年ぶりの個展を行った。もともとは大先輩の加藤力之輔氏に紹介されて知ったギャラリーであるが、今回は宮島が「ぜひまた京都で作品発表したい」という思いをくみ取った加藤氏から、再び推薦があり、この展覧会に至った。同時に、京都は宮島にとっても思い入れ深く、好きな場所である。

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ギャラリーがあるのは、京都市役所やホテルオークラの近く、三条御幸町という所にある。京都の住所は交差点で呼ぶことが多いので、この場合は三条通りと御幸町通りの交差する所ということだ。

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ギャラリーが入っている1928ビルは、その名の通り1928年に建設されたので、今年で竣工96年となる。地下には地元の若者に人気のカフェ「アンデパンダン」があり、今回会場となる同時代ギャラリーは2階にある。近くには、おしゃれなファッション店や喫茶店も軒をつらね、ほんの少し足を伸ばせば、楽器店の十字屋等がある三条名店街に出る。宮島は中学生の時にここに来たことを、何度か来ているうちに思い出したという。
「中学3年生の修学旅行の時、一泊目は奈良で二泊目は京都でしたが、以前卒業アルバムで調べたところによると、どうもこの三条通り沿いのホテルに宿泊しています。夜、アーケードのある商店街に、みんなでお土産を買いに出かけましたが、おそらくこの近辺と思います」

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そしてこの三条通りの名店街を寺町通りに曲がると「本能寺」がある。織田信長が明智光秀に打たれた「本能寺の変」がおこった場所としてあまりにも有名であるが、現在の本能寺は1591年、豊臣秀吉の命により移転した場所である。現在でも、織田信長に関する催事などが、定期的に行われているようだ。

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しかしながら、この付近は外国人観光客が大変多い。個展開催中の1928ビルも、その風情ある姿から観光客も立ち寄りやすく、アジア系、西洋系含め、老若男女、子供づれも含んだたくさんの外国人が訪れた。宮島の作品は一部を除き基本的に絵であるが、絵とは言葉を超えて理解され得るものだと言うことが、今回あらためてわかった。
今回はまちがいさがしやその派生型のおんなじさがしの作品も多数出品したが、外国人もそれなりに楽しんでくれたのが印象深かった。またこのあたりは日本人の若者も多く、特に若いカップルがデートの延長で個展に訪れ、「まちがいさがし」等を解く姿が新鮮だった。

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今回は個展の時間の合間をぬって、琵琶湖の方にも足を伸ばしてみた。京都中心部からは地下鉄が京阪電鉄に乗り入れていて、それを乗り継いで浜大津まで行くことができる。
浜大津駅周辺から見る琵琶湖は、まるで海のようである。地名に「浜」とついているのもうなずける。湖として日本一の広さを持つ琵琶湖は、時として向こう岸が見えないこともある。

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この琵琶湖は京都への重要な水源でもあり、明治時代に着工された琵琶湖疏水は、現在も琵琶湖から京都へ何本かの水路を眺めることができる。
湖畔にはホテルや商業施設、ボートレース場等が並ぶ。
「20代の頃、京都のお寺の催事に来た時、この湖畔のホテルに泊まった覚えがあります。確か『帰ってこいよ』の松村和子さんがステージに出ていました」。
同じ琵琶湖畔でもかつて、宮島は彦根の方にも行ったことがあるが、彦根から見る琵琶湖と大津から見る琵琶湖ではかなり風景が違うとも感じた。彦根に行ったのも、あるグループ展に出品した時のことだった。

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この地域の京阪電鉄は途中、路面電車のようになっているが、今から20年ほど前、初めて宮島がこの電車に乗ってこのあたりに来た時、車窓から見る景色は、その後の京都の旅の価値観も向上していたほどだったと言う。
「今回の個展は、終了時『もっとやりたかった』と思うほど、京都を恋しく感じました。関西で少々ご無沙汰していた知人も何名か来場いただき、お会いできたのは嬉しかったです」
18年ぶりの京都個展は、その作品は大きく変化しながらも、ある意味では前回と変わらない心持ちで行なえたことが、何よりも嬉しかったと宮島は語る。

 

(文・写真 宮島永太良)

 
 
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