Story : 詩と作品
連載75回 何が本当の恵みなのか、今はわからないのだから
何が本当の恵みなのか、今はわからないのだから


川の流れに揺られながら、
今日も舟を漕ぐ音が聞こえる。
私たちは知らない間に舟に乗せられ、
自然のままに漕ぎ続けていた。
本当に降りたい所に到着するまでは、
どもまでも進まざるを得ない。
その間には腹も減るし、疲れもする。
そんな時天を見上げれば、いつでも恵みの玉が
希望の糧を与えてくれていた。
時には他者を犠牲にしながら、
先を急がねばならないこともある。
そんなことにふと気づくと、
自分を責めたい時もある。
しかしどんなことがあろうと、
舟を漕ぐことを忘れなければ、
その手を止めることをしなければ、
きっと救いの手が差し伸べられるはずだ。
止めてしまえば、行く先もわからなくなるだろう。
恵みの玉も見えなくなってしまうだろう。
目の前に与えられた希望の糧に、
今はただ頼って動き続けるしかないのだ。
何が本当の恵みなのか、
今はわからないのだから。


作品名:恵みT
宮島永太良
